■物語について教えてください
有名な“王昭君の悲劇”です
漢と匈奴の戦いは一進一退を繰り返し、力に勝る匈奴の王韓耶将単于(後シテ)の妃に漢王の後宮から一人差し出す事になります
漢王は三千人の宮女の絵を描かせて最も見劣りのする者を選ぼうとします 皆、絵師に賄賂を贈りますが、昭君だけがそれをしなかった為に醜く描かれ、蛮族として恐れ忌み嫌われていた匈奴の王に送られる事になります 昭君は漢王の寵姫でしたが、君主の詞に私なしと涙を呑んで送り出します
娘を蛮族に奪われ傷心の昭君の老父母、白桃(前シテ)と王母(ツレ)のもとを里人(ワキ)が慰めに訪れるところから物語は始まります
老父母は娘が胡国に発つ時に形見として植えた柳木の周りを掃き清めています
昭君は柳が枯れたらば私も死んだとお思い下さいと言い残しました 既に柳の片枝は枯れ、老父母の悲嘆は日に日に増すばかりです そして里人の尋ねに応じて昭君が何故差し出されたかを語ります 更に桃葉の故事をかり鏡に愛娘の姿をうつそうとします